なんとも魅力的な響き、「社交ダンス」。ある人には「映画の中での話」だったり、「遠い世界のおとぎ話」だったりします。毎日ダンスの事を考え、機会をみては踊り明かす人たちもいます。不思議な出会い、そして素敵な出会いだったかで、人生まで変わることもあるかもしれません。

社交ダンスとの出会い

私が社交ダンスと出会ったのは、大学に入学するほんの数週間前の事でした。ある日、仲間の「ダンスに行こう!」の誘いでパーティーに行ったのが初めての出会いとなりました。

ところが、そのころはディスコ全盛の時代で、時間を見つけてはディスコに遊びに行く、というのが僕たちの感覚・・・。

仲間の誘いも、当然ディスコだと思っていたので、まあ普通の感覚でついていったのですが。実はそこは社交ダンスのパーティー会場でした。

行ってびっくり、見てびっくり!だって社交ダンスなんて初めてみたわけだし。皆同世代で、なんだか学校の放課後ののりでした。後からわかったのですが、それは「若者の交流を深めるパーティー」だったようです。

ジルバに挑戦

「踊りませんか?」
「すみません、踊れないんです」
「またまたあ・・・」

こんな事を何度か繰り返しているうちに、自分もやってみようという気になってきました。相手をくるくるまわしてみたいもんだなあ・・・と。

そのパーティーでは9割がジルバディスコでかかっているロックの曲で踊る4拍子。

そのころの自分には十分すぎる魅力でした。教えてもらって、お相手してもらって・・・。筋がいいですね!才能あるかも・・・。上手いですね。なんておだてられて、楽しい1日を過ごさせていただきました。

大学の社交ダンス部に入部

入学式もそつなく終わり、いざ登校。恒例のサークル勧誘です。沢山のサークルがあるし、どこに入ろうかなあ?なんて考えていると・・・。

あった、社交ダンス!!あのジルバが!!いざ入部。練習会。先輩にジルバを教わって、おまけにブルースボックスルンバも教わりました。そしてダンパ。楽しい日々を満喫しました。

でもそれは長くは続きませんでした。もともと競技ダンス部だったので、ワルツクイックベーシックを延々と踊り続けるようになり、大好きなジルバは、だんだんと減ってきてしまいました。

そんなの聞いてないよ!

なんとなく社交ダンスの魅力も失せてきて、練習会にも参加しなくなってきました。初めての合宿にも参加しませんでした。

でも、合宿に参加した友達から、ショッキングな一言!![サンバとか、チャチャとか、タンゴを習った」だって。そんなの聞いてない!!

すぐさま彼を家に招いて、教えてもらいました。でも、よく覚えてないという。しょうがないから本を買ってきて、独習の毎日。でも、本じゃ覚えられないんだよね。で、部に戻ることを決意!

競技ダンス

ホールド張ってレッツゴー!これが競技ダンス。部に戻って、競技に出るようになると、やっぱりこうなっちゃう。

色々なステップを覚えて・・・、というより勝った負けたでダンスを判断するようになってきてしまう。でもやっぱりここでも疑問がでてくる。先生には出来て、自分には出来ないこと。それは「リード」・・・。やっぱりホールド張ってるだけじゃ、リードできないし。

リード」にこだわればこだわるほど競技会の成績は低迷してきました。でもここは自分の譲れないところ・・・。ダンスってこうなんだ!というこだわり。

でもやっぱり向いてないんだなあ、ってことで学生時代を終わることになりました。

社会人

大学を卒業して、かねてからの夢であった商社マンになりました。もうやることもないと思っていた社交ダンスでしたが、会社のデスクの上に置いてあった1枚のチラシが人生を変えました。

社交ダンス・・・、最初の赴任地が知り合いのいない仙台だったためか、寂しさのためか、とにかくまた社交ダンスを始めることになりました。そのサークルで、ある女性と出会うことになりました。今のパートナーです。

そしてまた、こりずに競技ダンスの道に足を踏み入れていく事になったのです。商社の仕事はとても忙しいものでしたが、人のいないのをみはからって、会議室でナチュラルターンをしたりと、なんとか時間を作って練習する日々がはじまりました。

「もっともっと練習したい!」。そうこうしてるうちに、かつての恩師から声がかかり、プロとしてデビューするチャンスがめぐってきました。

プロとして

そんなこんなでプロデビューして、もう何年たったんだろう。色々なことがあったけど、ダンス界でも中堅どころ。楽しいだけではやっていけない状況になってきました。

やっぱり基本が大切なんだと言うことが分かってきました。世界チャンピオンと自分達の差って、やっぱりステップじゃなくて基本の差なんだろう、ってかんじます。

ステップじゃないんだよね、「歩く姿が即ダンス」、基本がしっかりして、生活にも密着してくるようなダンスレッスンできればなと考えています。

(この記事は2000年に執筆したものです)